2022年2月より開催しておりました当協会主催の『みんなが笑顔で元気になる!“花・緑・庭”コンテスト』の募集が終了し、厳正なる審査の結果、受賞作品が決定いたしました。
今回で3回目の開催となった本コンテストも、花・緑・庭のある暮らし方や空間の提案・デザイン・設計・施工に携わられた方向けの「【プロフェッショナル】花・緑・庭で笑顔をつくった部門」と、花・緑・庭のある暮らしや空間でご自身や身近な方が心身共に健康で笑顔になった体験・体感の感動エピソードの「【一般】花・緑・庭を使って笑顔になった部門」の2部門で募集を行いました。
ご応募いただいた皆さまに、心より感謝申し上げます。
なお、本サイトに掲載する各作品の詳細につきましては随時更新してまいります。
あらかじめご了承くださいませ。
- 一般社団法人日本ガーデンセラピー協会
●【プロフェッショナル】花・緑・庭で笑顔をつくった部門
グランプリ
医療法人宮沢医院の2つのヒーリングガーデン
東京都 エコ&ヒーリングランドスケープコンサル 豊田幸夫様
講評
理想的な庭園です。風を感じさせる花や緑の揺らぎ。そして季節の美しさ。音楽のメロディーや映画のシーンをほうふつとさせる素晴らしい作品です。
人が集い、会話が自然と起こる四季の彩を感じさせてくれます。その花や緑の変化を五感と庭暮らしの住まい方療法を工夫された素晴らしいエデン、花園です。
何より職員さんにとっても香りや色彩や、食事や、心地よい時間を患者さまなどと共有できる…。秋には枯れた植物たちが、春に芽吹き、成長し、花が咲き、そして鳥や蝶達も訪問してくれ、やがて実をつけ、美しい秋の紅葉を楽しむ。命を感じ、命を育て、命を守り、そのために自然と体を動かし、自然と人が集まり会話が始まる。日々の幸せを感じる素晴らしいグリーンテラスです。
日本中の施設、また日ごろの住宅にも小さくても良いのでこのような機能を広げていきたいですね‥。
準グランプリ
人間も植物も虫や鳥たちも笑顔に自然体で生きられる空間へ
群馬県 株式会社ACID NATURE 太田敦雄様
講評
建築の造形と造園がデザイン的にはマッチしていてチャレンジイングで面白い空間を創りだしています。屋上を全面的に緑化していることも先進的事例として高く評価できます。
しかし、亜熱帯的あるいはデザート的な植栽が現在流行し、また温暖化が進行しているとはいえ、日本にこのような植栽を普及させるという考え方には同調しにくいところです。周囲との景観的連続性にも違和感がないとは言えません。ガーデンセラピー的視点に立てば、自然な造園的空間に安らぎを覚えるのではないでしょうか。
日本には長い造園の歴史があり、生態系の保全という観点から見ても、日本在来の植物を使って、造形的ではあるが日本らしい表現ができるのではないかと思います。本来、造園とは、その地域の自然をゲニウス・ロキに従って造形化し、美的に構成する技であるはずです。だからこそ世界各国に多様な造園の形式と美が誕生しました。
次回の作品を楽しみにしています。
準グランプリ
ガーデンセラピーを取り入れた歯科医院
~心が落ち着く診察室 ホスピタルガーデンのありかた~
埼玉県 現代の名工 小林徹様
講評
「インテリア医学」を提唱しており、五感にやさしい医院をデザインすることを本業としていますので、日頃から歯科医院の現状はよく理解しています。不安な気持ちで診察台に座る患者さんが見る景色を緑の庭にして、安らぎの空間作りをしたこと、その後アンケートにより患者さんがどう感じたか調査されている点が評価できます。「なんかいい」というフレーズがありますが、このように何となく心地良さが伝わっているところが良いのです。患者さんが科学的根拠ではなく肌で感じている証拠です。
個人宅でそのご家族のための庭作りももちろん必要ですが、今回のように医療機関で多くの人の目に留まり体感してもらえることはガーデンセラピーの普及において有意義な取り組みです。さらなる学びと実践を期待しています。
特別賞
育てる庭づくり
熊本県 株式会社みゆきの里健康ファーム 戸渡圭紀様
講評
園芸療法の特徴として、【育てること】【収穫すること】が挙げられます。育てることにより、「来週は花が咲いているかな?」といった将来への期待感を、また収穫することで満足感を得ることが出来ます。これらが重なることにより「また庭に行きたい」という継続意欲に繋がります。心身のリハビリテーションには、この継続意欲がとても重要です。
今回受賞された「株式会社みゆきの里健康ファーム」は、野菜やハーブの栽培を通じて、利用者に継続意欲を提供しており、園芸療法の要素を取り入れたガーデンセラピーの素晴らしい実践例であると評価されました。
このような庭が院内にあることで、施設利用者だけでなく、病院勤務者にとっても癒しの空間になると考えられます。今後も、植物を活用した取り組みを続けて頂くことを期待しています。
●【一般】花・緑・庭を使って笑顔になった部門
グランプリ
なぜ自然を取り入れるのか
~患者さんとリハビリスタッフで行うガーデンセラピー~
熊本県 医療法人博光会 御幸病院 清水隆大様
講評
ガーデンセラピーは庭との関りで心身を整え、自己治癒力を高め健康な暮らしを実現します。御幸病院様はガーデンセラピーを取り入れ、コロナ禍でご家族と会えない患者さんのストレスを軽減し、患者さんがリハビリテーションに能動的に取り組めるようにした点が高く評価されました。
またスタッフの皆さんが意欲的に植物学習され、園芸を通じて患者さんとの交流を育くまれていて大変素晴らしいです。ハーブガーデンで美しい花を見たり、苗を植えたり、畑で新鮮な野菜を収穫したりと、皆さんの笑顔がリハビリ効果を一層高めているのでしょう。今後も更なるガーデンセラピー効果に期待しています。
準グランプリ
庭のないマンションで、仲間と一緒に園芸を!
兵庫県 當宮雅子様
講評
ガーデンセラピーと聞くと、ハーブガーデンやローズガーデンなど西洋のガーデンを連想される方が多いかもしれませんが、この作品を拝見して、和のガーデンセラピーという新しいジャンルが誕生しても良いのでは、と思うほど強いインパクトを持ちました。
色彩のコントラストや華道を彷彿とさせる世界観に、先人が育んできた日本の美を感じることができる優れた作品だと思います。
準グランプリ
白い蝶が舞う小さな薔薇園
新潟県 西窪麗子様
講評
愛娘様をご不幸にも亡くされ、失意は如何ばかりでしたでしょうか。
ご主人様の言葉から気持ちの切り替えが出来、お嬢様への想いを乗せた薔薇園再生は御自身の生きる力を目覚めさせ、ご近所の方や地域に存在を示すほどに甦りました。まるでお嬢様と協働作業をされたように完成したガーデンには西窪様の魂が込められたようです。 自然の力を借りて癒され、お孫さんとの語らいの場も創造し、まさに生活の中においてガーデンセラピーを実践された、お手本といえる作品です。
特別賞
クラスの心の拠り所 グリーンカーテン
山梨県立甲府第一高等学校探究科3年5班の皆様
講評
もともと探究科は、SDGs No.11「住み続けられる街づくり」を取り入れて学科の活動を行っていましたが、たまたま教室の冷房が壊れたことをきっかけに、教室の窓側にグリーンカーテンを設置して『冷』を求めました。
30センチメートルで植えたパッションフルーツ苗がドンドン成長しグリーンカーテンとして育っていく様子がクラスの人たちに人気だといいます。セラピー効果については言及していませんが、タイトルに「クラスの心の拠り所」とあるように、人気が高いことはセラピー効果の高さにつながっているといえるでしょう。
グリーンカーテンが作る影や蒸散による教室内の気温への影響を調べていきたいとしていますが、セラピー効果も併せて調べてほしいと期待します。
● 講評者紹介
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理事長/高岡 伸夫
株式会社タカショー 代表取締役社長
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副理事長/百瀬 伸夫
一般社団法人IKIGAIプロジェクト 理事
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理事/岩崎 寛
千葉大学大学院園芸学研究科 准教授
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理事/川人 紫
桜サイエンスビューティー株式会社 代表取締役
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理事/白砂 伸夫
神戸国際大学 教授
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理事/富島 三貴
みゆきの里 理事長
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理事/水口 真理子
メディカル・デザイン株式会社 代表取締役
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理事/山川 正浩
株式会社グリーン情報 代表取締役