第2回ビジネス専門セミナー「ガーデンセラピーを活用した国内事例」が開催されました

ガーデンセラピーに関わるさまざまな業種・業界にてビジネスをされている企業様とその従事者様向けのビジネス専門セミナーが2021年8月19日(木)に来場参加型の東京会場と、オンライン参加型のWEB会議ツール「Zoom」を使ったハイブリッド方式で開催されました。
約90名の方にご参加いただき、「とても有意義なセミナーであった」との多くの声をいただきました。
ご参加いただきました皆さまには御礼申し上げます。

講義内容・講師

開催のご挨拶 日本ガーデンセラピー協会 理事長 高岡伸夫氏

高岡理事長よりご挨拶
高岡理事長よりご挨拶

まず始めに、2016年4月の設立からこれまでの間に多くの会員様にご尽力いただきましたことへの御礼がございました。当協会を設立した想いは、日本の医療・介護問題を家と庭、そして自然と緑を活用してストレスを軽減させることで社会問題への解決へ取り組んでいきたいと考えたことがきっかけである、とお話しいただきました。SDGsやESGなどさまざまな取り組みが盛んにあるが、自然との共生をテーマに当協会は今後も注力していきたい、と意気込みを語っていただきました。

第1部 講演「一般住宅へのガーデンセラピーの提案事例」 ビズガーデニング株式会社代表取締役 浅野栄二氏

ビズガーデニング株式会社 浅野栄二様 ご紹介
ビズガーデニング株式会社 浅野栄二様 ご紹介

まずは、昨年開催した当協会主催の「みんなが笑顔で元気になる! “花・緑・庭” コンテスト」プロフェッショナル部門にて準グランプリを受賞された浅野様ご自身についてご紹介と、ガーデンプランナーとして「ガーデンセラピーコーディネーター1級認定」を取得するに至った背景についてお話しいただきました。

浅野様が考えるガーデンセラピーのお庭の定義について
浅野様が考えるガーデンセラピーのお庭の定義について

そして、資格取得後に取り組まれた活動のご紹介と共に、浅野様がガーデンプランを手がける際に「ガーデンセラピーの庭」とその他の庭と区別をするために考えた定義についてお話しいただきました。浅野様は、これらの定義づけを行い、お客様への細かいヒアリングと行った上で、ガーデンセラピーのある暮らし方をご提案されています。

施工事例 Y様邸
施工事例 Y様邸

その後、浅野様が手がけた「ガーデンセラピーの庭」の事例を数種類ご紹介いただきました。どの事例にも、冒頭に述べられた定義を踏まえ、お客様それぞれに寄り添った緑のある暮らし方をご提案されていました。

今後も、このようなたくさんの事例が広がり、社会問題への解決の一助となれるよう当協会も活動の幅を広げてまいりたいと考えます。

第2部 基調講演「植物の力を生きる力へ」 樹木医/はままつフラワーパーク 理事長塚本こなみ氏

塚本様よりご挨拶とご紹介
塚本様よりご挨拶とご紹介
あしかがフラワーパークへ移植した大藤
あしかがフラワーパークへ移植した大藤

始めに、塚本様よりご挨拶とご紹介がございました。女性の感性を生かしたお仕事をしたいという想い、そして樹木医としてお仕事を始められたきっかけなどについてお話しいただきました。樹木医としてスタートしたばかりの頃に大藤の移植のお仕事を受け、その移植を成功させると共に、あしかがフラワーパーク 園長へとご就任された経緯があります。

あしかがフラワーパーク 園長として、世界に日本のフジの魅力を発信することに成功。また、その後2013年よりはままつフラワーパーク 理事長へとご就任されました。

  • はままつフラワーパークのご紹介1
  •  
  • はままつフラワーパークのご紹介2
はままつフラワーパークのご紹介2

はままつフラワーパーク 理事長にご就任後、さまざまな植栽デザインと演出を手がけられ、その事例についてお話しいただきました。

これからの公共ガーデンには「美しい」というテーマが大切になると考え、お客様が笑顔になるガーデンづくりをされています。

あしかがフラワーパークにも負けないような美しい藤も取り入れ、「美しい」だけでなくさらにお客様が園内を楽しんでいただくための参加型イベントや健康促進となるトレッキングコースを造るなどさまざまな取り組みをされています。

パーク内に「適応指導教室」を開設
パーク内に「適応指導教室」を開設
花育プログラムの事例
花育プログラムの事例

そして、ご講演の中でも注目を集めたのが不登校児童の「適応指導教室」に関するお話でした。

フラワーパークの中に教室をつくり、花や緑の力で心を豊かにしてほしい、という想いで着手されたそうです。

そのきっかけは、あしかがフラワーパーク時代に、重い病気にかかられている方でもパークを楽しんでもらえるようにしてほしい、というご要望に塚本様はできる限りの取り組みをされてきました。そして数々のご要望がある中、不登校のまま中学を卒業せざえる得ない女生徒とうつ病を患ってしまった青年をあしかがフラワーパークの職員として働かせてほしい、というご要望があり、植物と触れ合いながら働く彼らが日に日に心を豊かする姿に魅せられた、というご経験があったそうです。このご経験で塚本様は「植物には人間性復元力がある」ということを改めて強く実感されたそうです。

はままつフラワーパークは公共施設であるからこそ、さまざまな問題を抱えている方を受け入れるべきと考え、適応指導教室「フラワーパークくろーばー教室」を開設されました。

そして、パーク内では花育の授業として自分の好きな植物を自分で植えて、管理し、育てていき、それらを園内に飾るプログラムを行い、今では最も人気のある指導教室となっている、とお話がありました。

その他にもさまざまな取り組みや植物が人に与えた力、植物と人との関係にまつわる事例をお話しいただきました。塚本様は、植物の持つ力が人に与えてくれる癒しや生きる力、心を整えさせてくれる力をより多くの人に知っていただき、このような活動を通してより良い地域社会を築いていきたい、と語られていました。

第3部 トークセッション「ガーデンや自然がもたらす人への癒やし効果について」

登壇者:
樹木医/はままつフラワーパーク 理事長塚本こなみ氏
千葉大学大学院 准教授 岩崎寛氏(当協会理事)
モデレーター:株式会社タカショー 代表取締役社長 高岡伸夫氏(当協会理事長)

トークセッション時の会場風景
トークセッション時の会場風景

第2部でのお話を受け、第3部はモデレーターに高岡理事長、そして塚本様と岩崎先生を迎え植物がもたらす効果について、岩崎先生による研究結果のエビデンスなどを交えながらトークセッションが行われました。

岩崎先生からは、医療の現場だけでは治らない病気が増えてきた中で、自然や植物と共に暮らすことで人にどのような行動や感情の変化があるかを捉えることがポイントであるとお話しいただきました。

その他にも、身近に関わりやすい植物の例や、その植物を育てたり活用する楽しみ、それらの活動がどのような心の変化をもたらすか、について塚本様と岩崎先生からたくさんの事例を交えてお話がありました。

 

今後も当協会ではより多くの方へガーデンセラピーに関するさまざまな情報をご提供すべくイベントやセミナーを開催いたします。
そして、「心身ともに笑顔で健康になるガーデンセラピー」を啓発し、よりよい社会づくりを目指してまいります。
引き続き皆さまのご協力のほどよろしくお願い申し上げます。

<文責>
一般社団法人 日本ガーデンセラピー協会 事務局
E-mail : office@garden-therapy.org