あわせて約70名の方にご参加いただき、「具体的な事例を学ぶことができてよかった」との多くの声をいただきました。
ご参加いただきました皆さまには御礼申し上げます。
講義内容・講師
開催のご挨拶 日本ガーデンセラピー協会 理事長 高岡伸夫氏
まず始めに、2016年4月の設立からこれまでの間に多くの会員様にご尽力いただきましたことへの御礼がございました。当協会を設立した想いは、日本の国土強靭化法における医療・介護と住宅コミュニティーにおけるレジリエンスに目を向け、日本が抱えるリスクを課題解決したいという想いを改めてお話しいただきました。健康で笑顔のある暮らしを、プロの方々と一般の方々が一丸となって作り上げていくことで心身ともに豊かな生活を実現できるよう、まずはプロの方々にガーデンセラピーについてより深く学んでいただき、多くの方に広めていただきたい、とお話しがありました。
第1部 講演「社会福祉施設や公共・商業空間におけるガーデンセラピー事例」 株式会社いずみガーデン 設計部長 和泉玲実氏
まずは、昨年開催した当協会主催の「第2回 みんなが笑顔で元気になる! “花・緑・庭” コンテスト」プロフェッショナル部門にてグランプリを受賞された和泉様ご自身についてご紹介と、和泉様がアメリカで学ばれたヒーリングガーデンや日本庭園などの学びについてお話しいただきました。
その後、日本に戻られ北海道旭川市でビジネスをしていく中で苦労したことや和泉様が設計デザインをする上で心掛けていること、大切にしていることについてお話しいただきました。そして、コンテストで受賞したこども園の園庭の現場事例について、その設計デザインやアイディアについて具体的にお話しいただき、そこで過ごす子どもたちや職員の方々が日頃、どのように庭と関わっているのか、たくさんの事例写真と一緒にご説明いただきました。また、コンテストで入選した病院の庭についても設計デザインと事例をお話しいただきました。和泉様がアメリカで積まれたご経験と、その際に触れ合った病院内の患者さんとのストーリーなどを交え、今回の病院の庭を手がけるにあたって心掛けたポイントや和泉様の工夫についてたくさんの事例写真と共にお話しいただきました。
どの事例にも、和泉様がこれまで積み重ねてこられたご経験や知識、そしてガーデンセラピーのある暮らし方をご提案されていました。
第2部 講演「一般住宅へのガーデンセラピーの提案事例」 株式会社緑と暮らしの庭設計 取締役 新井規夫氏
まずは、昨年開催した当協会主催の「第2回 みんなが笑顔で元気になる! “花・緑・庭” コンテスト」プロフェッショナル部門にて準グランプリを受賞された新井様ご自身についてご紹介と、3つのテーマに沿って一般住宅への提案事例についてお話しいただきました。
一つ目のテーマは「スロープが諸悪の根源」とし、一般のお客様からのご要望で多くの方から将来不健康になること、歩けなくなることを前提にスロープを設置してほしいという声があることに疑問をいだいていると冒頭にお話しがありました。しかし、とあるお客様の住宅に階段を設置したところ、歩くことが難しかったご高齢の方が階段を使うことでリハビリ効果となり、歩けるようになったという事例をお話しいただきました。
次に「虫よこいこい」というテーマで、ご自宅の庭の事例についてお話しいただきました。庭があることで植物や虫などに触れ、その生態系を子どもたちと一緒に学ぶことができたり、新しい発見や知識を教えることができるとたくさんの事例写真を交えてお話しいただきました。そして最後に「メンテフリーよさようなら」というテーマで、庭のメンテナンスをすることを「家族のイベント」として捉えて庭への愛着と庭を育てていくことの良さについてお話しいただきました。そして、新井様のご自宅で育てている植物とその活用方法、ご家族とどのように楽しまれているのかを具体的にお話しいただきました。
新井様にお話しいただいた3つのテーマは、ガーデンセラピーの基本的な考えにも共通していることで、多くの方に改めてガーデンセラピーの庭について具体的な事例を踏まえながらご理解いただける内容でした。
今後も、このようなたくさんの事例が広がり、社会問題への解決の一助となれるよう当協会も活動の幅を広げてまいりたいと考えます。
第3部 トークセッション「ガーデンセラピーを取り入れたビジネス事例について」
登壇者:
株式会社いずみガーデン 設計部長 和泉玲実氏
株式会社緑と暮らしの庭設計 取締役 新井規夫氏
千葉大学大学院 准教授 岩崎寛氏(当協会理事)
モデレーター:
メディカル・デザイン株式会社 代表取締役 水口真理子氏(当協会理事)
第1部、第2部でのご講演を受け、第3部はモデレーターに水口理事、そして和泉様、新井様と岩崎先生を迎え、岩崎先生による研究結果のエビデンスなどを交えながらトークセッションが行われました。
冒頭に、第1部と第2部のご講演内容について岩崎先生からのご見解を述べられました。和泉様の事例では、対象者が子どもではあるものの、そこで一緒に過ごす親御さんや施設の職員さんなどの周りの方への配慮も含めて設計デザインされている点は「間接的園芸療法」における分野と共通しており、対象者である子どもにも良い影響をもたらす、とのお話しがありました。次に新井様の事例では、過去に岩﨑先生が住宅メーカーと住宅の在り方について考えていく中で、住宅の中だけでなく、庭もライフステージに合わせて変えていく必要があると考えており、新井様の事例はそれに共通しているので、庭を変えていく柔軟性を持って設計デザインすることも必要であるのでは、とのお話しがありました。
そして、水口様の進行に沿って、和泉様と新井様が設計デザインをする上で、またお客様へご提案する上で心掛けていることや大事にされていることを深掘りしてお話しいただきました。それらのお話しを踏まえ、岩崎先生が考える社会福祉施設や住宅の庭空間や緑化のあり方、社会的なニーズについて具体的にお話しいただきました。
今後も当協会ではより多くの方へガーデンセラピーに関するさまざまな情報をご提供すべくイベントやセミナーを開催いたします。
そして、「心身ともに笑顔で健康になるガーデンセラピー」を啓発し、よりよい社会づくりを目指してまいります。
引き続き皆さまのご協力のほどよろしくお願い申し上げます。
<文責>
一般社団法人 日本ガーデンセラピー協会 事務局
E-mail : office@garden-therapy.org